ワークフローシステムはクラウドとオンプレミス、どちらを選ぶべきか
ワークフローシステムを導入する際、クラウドとオンプレミスのどちらで運用するかは最初に決める必要があります。近年はクラウドが主流ですが、ベトナム拠点で稟議書を扱う場合には、国内での導入とは異なる観点が必要です。この記事では判断に必要な4つの軸を説明します。
クラウドとオンプレミスの違い
クラウド運用は、ベンダーまたはクラウド事業者が用意したサーバー上でシステムを動かす方式です。自社でサーバーを持つ必要がなく、導入が早いのが特徴です。
オンプレミス運用は、自社が保有・管理するサーバーにシステムを設置する方式です。データの物理的な所在を自社で把握・管理できます。
なお、AWSやAzureなどのクラウド基盤に自社でシステムを設置する形態もあり、これは両者の中間に位置します。データの管理主体は自社ですが、物理サーバーは保有しません。
ベトナムで考慮すべき4つの軸
1. 通信環境
クラウド運用では、サーバーの所在地が業務の快適さに直結します。日本国内のデータセンターにあるシステムをベトナムから使う場合、物理的な距離のぶん応答が遅くなります。
文字ベースの申請書であれば体感差は小さいものの、PDFの表示や添付ファイルのアップロードでは差が出やすい傾向があります。稟議書に図面や写真を添付する運用がある場合は、この点を事前に確認してください。
また、国際回線の障害時にシステムが使えなくなるリスクもあります。オンプレミス運用であれば、社内ネットワークで完結するため、この影響を受けません。
2. 機密文書の社外配置
稟議書には、取引条件、価格、人事、投資計画といった機密性の高い情報が含まれます。これを社外のサーバーに置けるかどうかは、多くの場合技術の問題ではなく、本社の情報管理規程の問題です。
規程で社外配置が禁止されている場合、クラウドという選択肢はそもそも取れません。検討の初期段階で本社の情報システム部門に確認しておくと、後戻りを避けられます。
3. コスト構造
クラウドは初期費用が低く、月額または年額の費用が継続的に発生します。オンプレミスはサーバーの購入費用が初期に必要ですが、その後の費用は保守が中心になります。
ここで注意したいのが利用人数と料金の連動のしかたです。1ユーザーあたりの単価が積み上がる方式、人数帯ごとにプランが決まる方式、人数に関係なく一定の方式があり、どれが有利かは拠点の規模によって変わります。
製造業のように現場スタッフが多い拠点では、5年程度の総額で比較するとオンプレミスのほうが安くなることがあります。導入時点の金額だけでなく、想定される従業員数の推移を含めて試算してください。
4. 保守体制
オンプレミス運用では、サーバーの管理を誰が担当するかを決める必要があります。ベトナム拠点にIT担当者がいない場合、この点が障壁になります。
ただし、承認ワークフローのような業務システムであれば、サーバー管理の負荷はそれほど大きくありません。バックアップの取得とOSの更新が主な作業で、ベンダーの保守契約でカバーできる範囲です。
比較表
| 項目 | クラウド運用ベンダー・事業者のサーバー | オンプレミス運用自社サーバーに設置 |
|---|---|---|
| 導入までの期間 | 短い(サーバー調達が不要) | やや長い(サーバー調達が必要) |
| 初期費用 | 低い | サーバー費用が必要 |
| 継続費用 | 月額・年額が継続 | 保守費用が中心 |
| データの所在 | 社外 | 自社 |
| 国際回線の影響 | 受ける | 受けない(社内で完結) |
| サーバー管理 | 不要 | 必要(保守契約で対応可) |
| カスタマイズ | 制約が多い場合がある | 柔軟に対応しやすい |
判断の進め方
次の順序で確認すると、判断が絞り込めます。
- 本社の情報管理規程を確認する — 機密文書の社外配置が禁止されていれば、オンプレミス一択になります
- 想定ユーザー数を数える — 全社員が申請者となる場合、利用人数に応じた費用の総額を5年程度で試算します
- 添付ファイルの使い方を確認する — 図面や写真を頻繁に扱うなら、通信速度の検証が必要です
- 保守を誰が担当するか決める — 拠点にIT担当者がいない場合、ベンダーの保守契約範囲を確認します
1番目の情報管理規程の確認は、検討の最初に行ってください。ここが未確認のまま製品選定を進めると、最終段階で導入自体が見送りになることがあります。
どちらの形態にも対応している製品を選んでおけば、途中で方針が変わった場合にも対応できます。導入形態についてはクラウドとオンプレミスの導入形態もあわせてご覧ください。
まとめ
クラウドとオンプレミスの選択は、通信環境・機密文書の扱い・コスト構造・保守体制の4軸で判断します。ベトナム拠点の場合、特に情報管理規程による制約と、利用人数に応じた費用の見通しが判断を左右しやすい要素です。
一般論としてはクラウドが手軽ですが、稟議書という機密性の高い文書を扱い、かつ全社員が利用する承認ワークフローでは、オンプレミスが適するケースも少なくありません。
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