ホーチミン・ハノイ拠点の業務効率化とDXの進め方
日本本社ではDXが進んでいるのに、ベトナム拠点だけ紙とExcelの運用が残っている。こうした状況は珍しくありません。この記事では、ベトナム拠点でDXが進みにくい構造的な理由を整理し、どこから着手すべきかを説明します。
ベトナム拠点でDXが進みにくい3つの理由
1. 人員の入れ替わりが多い
ベトナムでは、日本と比べて転職が一般的です。業務のやり方を個人が抱えていると、担当者の退職とともにノウハウが失われます。
この環境ではむしろシステム化の必要性が高いのですが、実際には逆に働くことがあります。「教える手間がかかるから、今のやり方のままでいい」という判断が繰り返され、仕組みの整備が後回しになるのです。
また、システム導入を主導していた担当者が退職し、プロジェクトが立ち消えになるケースもあります。
2. 日本本社との温度差
本社のIT部門にとって、海外拠点は優先順位が下がりがちです。本社で導入したシステムを海外拠点にも展開する計画はあっても、実際の予算とリソースは国内が優先されます。
一方、拠点側から見ると、本社が選んだシステムは日本語のみだったり、現地の業務実態に合わなかったりします。結果として、本社主導の展開が拠点で使われず、拠点独自の運用が続くという分断が生じます。
3. 予算承認の壁
皮肉なことですが、システム導入の予算を承認してもらうための稟議そのものが、紙とハンコで滞るという状況がよくあります。
加えて、海外拠点の設備投資は本社決裁が必要な金額になりやすく、承認までに時間がかかります。検討開始から導入まで1年以上かかると、その間に担当者が異動・退職して振り出しに戻ることもあります。
小さく始める領域の選び方
これらの制約を踏まえると、ベトナム拠点のDXは大規模な基幹システムの刷新ではなく、範囲を絞って始めるほうが成功しやすいと言えます。着手する領域を選ぶ基準は次の3点です。
効果が数字で見えること
本社に対して継続の必要性を説明できるよう、効果が測れる領域を選びます。承認にかかっていた日数、書類を探す時間、印刷枚数など、導入前後で比較できる指標があるものが適しています。
特定の部署で完結すること
全社を巻き込む改革は、調整だけで時間を使い果たします。まず一つの部署、あるいは一つの業務プロセスに絞り、そこで成果を出してから広げるほうが確実です。
現地で完結できること
本社システムとの連携が前提になると、本社IT部門の工数を確保する必要が生じ、着手が遅れます。まずは拠点内で完結する領域を選ぶことで、自分たちのペースで進められます。
この3条件に合致しやすいのが、稟議・承認業務です。件数が多く効果を数字で示しやすく、拠点内で完結し、部署単位での試行も可能です。具体的な進め方はベトナム拠点の稟議書をペーパーレス化する手順で説明しています。
拠点別の事情
ベトナムといっても、拠点の所在地によって事情は異なります。
ホーチミン
商業の中心地であり、日系企業の拠点数も最多です。IT人材の層が厚く、ベンダーの選択肢も多いため、システム導入の支援を現地で得やすい環境にあります。一方で人材の流動性が高く、給与水準の上昇も続いているため、業務の属人化を避ける仕組みづくりの必要性は高いといえます。
ハノイ
行政機関が集中しており、許認可に関わる書類のやり取りが多い傾向があります。北部の工業団地に製造拠点を持つ企業も多く、事務所と工場が離れている場合の書類の移動が課題になりやすい環境です。
ダナン・その他の地方都市
近年進出が増えている地域です。現地で得られるIT支援がホーチミン・ハノイに比べて限られるため、リモートでのサポートに対応できるベンダーを選ぶことが重要になります。
進め方の実務
実際に進める際の順序は次のとおりです。
- 現状の課題を数字にする — 承認にかかっている日数、書類を探す時間などを1〜2週間記録します
- 対象範囲を決める — 一つの部署、一つの業務プロセスに絞ります
- デモ環境で試す — 実際の書類を使って、現地スタッフに操作してもらいます
- 効果を測って本社に報告する — 導入前の数字と比較し、展開の判断材料にします
- 対象を広げる — 成果が出た方法を他部署へ展開します
特に3番目の「現地スタッフに実際に操作してもらう」段階は省略しないでください。日本人管理者だけで判断すると、現地スタッフにとっての使いにくさを見落とします。この点はベトナムの日系企業でよくある「言語の壁」と業務システムの多言語対応でも触れています。
まとめ
ベトナム拠点のDXが進みにくいのは、人員の流動性、本社との温度差、予算承認の遅さという構造的な理由によるものです。担当者の意欲だけで解決できる問題ではありません。
だからこそ、効果が数字で見え、部署単位で完結し、現地で進められる領域から着手することが有効です。稟議・承認業務はこの条件に合致しやすく、最初の一歩として適しています。
ベトナムの承認ワークフローシステム E-Documentは、ホーチミン市のHARO VNで開発・保守を行っています。現地の商習慣に合わせた改修のご相談も承っており、ハノイ・ダナンを含む各拠点での導入に対応しています。
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